ヒシアマゾンが死んだらしい。
思い出のレースは色々あるが、それより94年のエリザベス女王杯のことが印象に残っている。
レースのことではない。勝利ジョッキーインタビューの光景だ。
中舘英二のインタビューでの喋り方がどこかぎこちなくて緊張してるのか泣くのを我慢してるのかただの素なのかわからなくてほっこりした。このインタビューの受け答え一発でなんとなくこの人の人柄みたいなものが垣間見えた。そのどこか頼りない中舘とヒシアマゾンという組み合わせのアンバランスさに魅力を感じていたのは自分だけではないはず。
よく「牝馬だから」という理由で評価が下がったりする。
自分は競馬に関してはそういうのはない。
ウオッカがダービーに参戦した時も、単純に距離が長いと思って音速の末脚で切ったが、「牝馬だから」厳しいとは思わなかった。
それは自分が「政治的に正しいから」ではなく、「ヒシアマゾンやエアグルーヴをリアルタイムで見ていたから」なのである。
今年の皐月賞は断然の一番人気サートゥルナーリアを切るところから始めた。
自分は中穴党だが、毎回人気馬だからといって根拠もなく消してるわけではない。
今回は、調教技術が進歩しているとはいえ4ヶ月の休み明け、一族特有の気性の悪さが出る可能性、ホープフルステークスのパフォーマンスは確かに圧巻だったが別路線組との比較となると実はそこまで差はなく、他馬にも付け入る隙があると踏んで消した。
とはいえ、ど本命の馬に完勝してほしいという気持ちも心の奥底にあったりもする。そして「やっぱり強いんだ」と納得させてほしかったりするのである。
ええ、サートゥルナーリアが勝ちましたとも。
なんにも影響なかったがアドマイヤマーズとアドマイヤジャスタを間違えるという痛恨のミスも犯した。
でも、後悔はない。2005年皐月賞の時だってディープインパクトを消した。
そうして生きてきたし、これからもそうやって生きていく。